邪魅、です 2006-10-21
京極堂シリーズ、邪魅の雫。
よいところ:シリーズ通してのファンとしては、やはり読みたい。
今回は『あの人』の過去、それも女性の影が・・・とても気になる。
ついつい読んでしまう面白さ。読み始めると厚さなんて気にならない。
その辺りは、やはり筆力のたまもの。お見事。考えさせられるところも
多々あり、読後は色々考えて・・・妙に納得したりもした。
悪いところ:今回は少々登場人物に覇気がない。各人物の良くも悪くも
個性的で魅力であるはずの部分が感じられなかった。全体に重く、暗い。
テーマが殺意、邪(よこしま)なココロ、そしてヒトゴロシなのだから
暗いのは仕方ないとして、登場人物の個性まで変わってしまうのは残念。
それらを新たな一面と捉えるにも、少し背景描写が薄い気がしてしまった。
全体に物足りない感が残ってしまったのが個人的には残念だったし、
各人物の心理描写より、京極堂の解体〜再構築のくだりがもっと読みたい。
特に妖怪談義、邪魅についてもっと語ってほしかった・・ぜーたくですが。
それでも大好きですからシリーズは今後も読む!次回に期待で星よっつ。
路線に変化を与えたかったのだろうが・・・ 2006-10-21
妖怪をモチーフに気味の悪い事件をこれでもかと積み重ねる。事件の謎が十分に深まったところで陰陽師が登場し、事件解決の憑物落しを行う。これまでの作品で成功している手法を踏襲しているが、名脇役の榎木津探偵のキャラクターを少々変えている。人間の深層心理を読み解く楽しみは相変わらずなのだが、荒唐無稽なキャラクターの人間性まで変えてしまった点には賛否両論だろう。
混沌とした作品 2006-10-18
京極堂物の最新作と言うことで、本屋に並んでいるのを見て、迷わず購入した。読了後に持った感想は「混沌」の二文字である。とにかく読み始めてから、京極堂が出てきて事件の解決というか解説をするまで、頭の中が引っかき回されているような感じだった。何しろ事件の全貌と犯人の目線で述べられている犯行動機のような物まで、すべて書かれているのだが、真相はまるで分からないのである。事件に連続性のあるところから、自分としては前々作にあたる「絡新婦の理」の様な結末を想像もしたのだが、最後まで読んでみると事件の連続性という点では似通っているが、片方が整然と計画的に行われたのに対し、今作品はそうではなく、また違った印象を抱いた。本作品は今までの京極堂物と違い、妖怪などの解説に頁をさいていないし、登場人物も従来よりは少ないので、そこが評価の分かれ目となると思うが、今までになかったコンセプトで書かれた小説であると思う。特にラストで探偵が犯人に下す罰は、なかなか秀逸で、勧善懲悪とは行かないものの、読者を納得させるには十分の結末といえるのではなかろうか?
部分のつながりが全体になる構成の妙 2006-10-15
トリックを楽しむミステリーとして読むなら、凡庸かもしれません。文章構成も(僕にとっては)複雑で、人間関係を理解するのに一苦労しました。
それでもすばらしいと感じたのは、 各ページ、各章が独立しながらも、全体の一部をなすという文章構成と個々の事件がつながっていくというストーリーが見事な相似形をなしているからだと思います。
「本」というメディアでしか表現できない、「本」の可能性の一つを示した小説だと思います。
妖怪は? 2006-10-14
半分近くまで読んで「いつもと様子が違うなあ」と思った。
いつもだと、妖怪の説明が長々とあって、それに耐えながら
読み進めると、終盤で、現実の事件と見事にクロスするとい
うパターンだったのが、今回はあまり妖怪の話は出てこない。
それに登場人物の多くが精神的に病んでいるような感じで重
苦しい。結局、最後まで雰囲気が変わらず、謎の多くは予想
通りということもあり、やや物足りなかった。
新作をずっと待望している間、代わりに読んだ多々良先生の
出てくる短編集の方が私としてはよかった。
今回、過去の事件の話については付録の年表を見ながら読ん
だが、それによって楽しみが増えることはなく、結構わずら
わしかった。
シリーズも長くなったので、1回転調してみたということな
らば納得するが、トーンダウンしていくのではと心配である。
さらに詳しい情報はコチラ≫この記事は2006/10/22に作成しました。